(91)2001.1.20

$ 病は気から $

 診たところ特に悪いところは無いですよ。
 強いて病名をつけるとするならば神経過敏ですかな。
 よくあるんですよ。自分は病気ではないだろうかと心配するあま
り意識が体内に集中されて、普段は気にならないような感触が異物
感や痛みにまで増幅される事が。
 この前なんか左脇腹を手で摩りながら肝臓が悪いんですと言う人
がやってきましたよ。その人は普段からお酒をよく飲む人で知らず
知らずのうちに自分でも気にしてたんでしょうな。肝臓というもの
は右側にあるということも知らずに。
 そうそうあなたも過去に経験があるでしょう。恋に悩んだ時など
胸が本当に痛くなったり苦しくなったりしませんでしたか。え、し
なかった。そうですか、いえ、本当に痛くなる人が多いんですよ。
 心臓と胃腸はすぐに精神的な影響が出ますからね。
 今回あなたの場合は胃腸にきましたな。
 特に胃にはすぐにくるんです。胃酸と粘膜のバランスが崩れて気
分が悪くなったりもたれたり吐き気がするのはまだ可愛い方で、異
常な痛みを伴ったり、酷いときには胃に穴が開きます。
 また、気分が落ち込むと免疫力が低下して風邪を引きやすくなっ
たりとか他にも様々な症状が出ます。
 高齢でリストラになった人が急に老け込んで白髪になったり歯が
全部抜けるなんて話はよく聞くでしょう。
 まあそんなわけですのであまりくよくよ考えない事ですな。
 笑うと免疫力が上がるというのも実験により立証済みですし、な
るべく笑っていて下さい。
 笑うのが苦手ならエッチなアダルトビデオでも観なさい。
 とにかく陽気な気分になることですな。その方が長生きできます
よ。

「って病院で言われたよ。」

「そういやビデオが普及してから日本の平均寿命って延びたよな。」



(92)2001.1.21

$ 血塗れの刃 $

 気が付くと深夜の町中で血塗れの包丁を持っている男がいた。
 その男の足元には血まみれの黒猫が倒れていた。

「な、何をしたんだ。君は」

「この猫は車に轢かれましてね。脚を折ってしまったんですよ。
 だからこのまま苦しみぬいて死ぬよりはひと思いにと思いましてね」

「そんな惨いことを。まだ生きてたんじゃないか。病院に連れて行
 けばよかったのに。可愛そうに。猫だから平気なのか。猫だから
 簡単に殺すんだろ。そんなに残酷な趣味を持ってるんなら轢いた
 奴も刺しちまえよ」

「だからおまえを呼び寄せたんじゃないか」



(93)2001.1.22

$ 王子と乞食 $

 とある乞食の少年と王子とが出会った。
 2人の少年は瓜二つの容貌をしており、ひょんなことから互いに
服装を交換して入れ替わった。
 そしてその城内にて、
 王子が乞食に扮するやいなや王子に化けた乞食の少年が叫んだ。

「であえ!!!くせものだ!!私の部屋に怪しい者が進入したぞ!」

 乞食に扮した王子は瞬く間に衛兵に捕らえられて床に押さえつけ
られた。いくら本当の王子が事実を言っても信じてもらえなかった。
王子は生まれて初めて床の固さと冷たさを肌で感じながら屈辱と後
悔と絶望の念に身を震わせて、せめてもの抵抗にと王子に扮した乞
食の少年を睨みつけるもそんな行為は何の成果ももたらすはずもな
く、王子はそのまま乞食として残りの一生を送る羽目になった。



(94)2001.1.23

$ 王子と乞食2 $

 とある乞食の少年と王子とが出会った。
 2人の少年は瓜二つの容貌をしており、ひょんなことから互いに
服装を交換して入れ替わった。
 そしてその城内にて、
 王子が乞食に扮するやいなや王子に化けた乞食の少年が叫んだ。

「であえ!!!くせものだ!!私の部屋に怪しい者が進入したぞ!」

 やがて衛兵たちがやってきて乞食に扮した王子を捕らえ、王子に
扮した乞食の少年はニヤリと笑みを浮かべる、かのように思えたが、
笑ったのは本当の王子の方だった。

「フン、実はこんなこともあろうかと、この部屋で起こった一部始
終はあそこから衛兵たちに見張らせておいたのだ」

 たちまち乞食扮する偽王子を衛兵達が取り囲む。
 しかし、偽王子は不適な笑みを浮かべたままだ。

「フフフ、ハハハハハ、つくずくバカな王子だ。
 実はこの城の中の衛兵たちは全て私の息のかかっている者たちな
のだよ。私は乞食に変装してお前に近づくチャンスをうかがってい
たテロ集団のリーダーなのだ」

 その言葉と同時に一斉に衛兵達が王子に襲い掛かった。
 襲いかかる数本の刃はしかし、一線の銀光になぎ払われた。
 いつの間に抜き放たれたのか怪しい燐光を帯びた魔剣が王子の右
手に握られている。

「フン、それも全て承知の事。私はお前たちの組織を壊滅するため
にわざと罠にはまってやったのだ。
 くらえ、我が王族に伝わる魔道剣技!!!」

 呪文の詠唱と共に振り下ろされる剣!轟く雷鳴!崩壊する建物!
 衛兵と偽王子は白い炎に包まれて吹き飛んだ。
 崩れ落ちた瓦礫の山を背に王子はその場を去ろうとした、その時。

「フフフ、ハハハハハ、お前の力はそんなものか」

 振り向くと偽王子が立っていた!
 実は偽王子はサイボーグだったのだ!!

 ・・・・

 つづく。(どこまでも)



(95)2001.1.25

$ オーマイガッ $

「おお神よ!」

「呼び捨てにするな」

ドカーン バリバリバリ



(96)2001.1.25

$ 締め切り直前もしくは審査発表後 $

 この世に残された唯一の楽しみとして小説を書き始めた。
 しかし、
 この世で残された唯一の悩みが小説を書き始めた事であるとも言える。



(97)2001.1.25

$ 夢を手に $

 ある種の諦めから夢見ることを避け、また、夢見ることのできる
幸せな者たちをバカにすることによって自らの空しさをごまかす。
 ある者は意識的に、ある者は無意識のうちに。
 本当は羨ましいくせに。
 しかし私はいつまでも抱き締め続けようと思う。

「しかしその夢はいくら見ても空しいだけだぞ」

 しかしやっぱり好きなんだもん。アニメの女の子が。



(98)2001.1.26

$ 預金 $

「ずいぶん入金したから貯まってるはずなんだがなあ。
 なかなか出金できなくて困ってるんだ」

「どこの銀行」

「駅前のパチンコ屋」



(99)2001.1.27

$ 店員の対応 $

「ったく人をバカにした様ないい加減な事をぬかしやがって。
 物損保証があることだし、このパソコンをぶっ壊して新品と交換
させてやる」

 ガシャン!

 私はパソコンを床に叩き付けた。

 世間では学生のことをいい加減な事をする者の代名詞みたいな使
い方をするが、実際社会ではたいがいな会社でもたいがいな事は平
気でしている。
 今日もとあるメーカーの従業員にものを尋ねたのだが、賢くない
者が自分より賢くないと思っている人に対してどれほど失礼でいい
加減な対応をとるかというのを思い知らされただけだった。
 メーカーにパソコンの調子が悪いと訴えたら中に入っている小人
さんがサボっているだけだろうので暫くしたら直りますとか言いや
がった。
 ちくしょう。
 ん。
 あれ?!

 床に叩き付けたパソコンからドクドクと赤い液体が流れ出してき
た。



(100)2001.1.28

$ 古い奴だとお思いでしょうが $

「キシャー!!」
「シュオエー!!」

 ついに成功した。究極生命体の誕生だ。

「よし、最終テストだ」

 濃硫酸が2匹の究極生物に浴びせかけられる。
 みるみる溶けて形が崩れてゆくが、次の瞬間には恐ろしいスピー
ドで再生し始めた。
 しかし再生に成功したのはメスの方だけだった。
 オスの方は哀れにも死んでしまった。

「、、、、男ってのは不器用な生き物だね」




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