※このページには創作では無い話がいくつも混じっています。


(101)2001.1.29

$ 口裂け女 $

 ある美人の女がそれを妬む姉妹によって口を包丁で裂かれて殺さ
れたと言う。
 それから奇妙な出来事が起こった。
 白いマスクをした女性が人通りの少ない街角に現れて偶然通りか
かった人にこう質問する。

「わたし、綺麗?」

 と同時に女はマスクをはずす。
 その顔は口が耳のところまで裂けており、お世辞にも綺麗とは言
えない。
 たいがいの人は思わず逃げ出すのだが、口裂け女の足は怪速で絶
対に逃げられない。
 そして捕まった者は口裂け女に包丁で頬を同じように耳のところ
まで切り裂かれてしまうのだ。

 今のところこの口裂け女が捕まったという報告は無い。
 それは、この話が単なる迷信であったとも言えるが、しかし、
 本当にただ単に捕まっていないだけとも言える。



(102)2001.1.30

$ まねき地蔵 $

 とある山の道路の脇にお地蔵様が立っている。
 そこはそんなに急ではないがカーブになっていて、良く事故が起
きて死人が出ると言われている。
 噂では深夜にそこを通るとライトで浮かび上がる鬱蒼と生い茂っ
た林の中のお地蔵様が手を振っている様に見えるのだそうだ。
 その時、手をバイバイしている時なら安全で、おいでおいでして
いる時はあの世に連れてゆかれてしまう。

「へへへ、よ〜し出来た。これで皆驚く事まちがいないだ」

 青年は機械仕掛けの手を地蔵に取り付けた。
 その夜、
 青年は仲間をつれて車でそこにやってきた。
 充分にまねき地蔵の話をして怖がらせた後に例のカーブでリモコ
ンのスイッチをオン。
 作戦どおりに仕掛けた手がおいでおいでをする。
 驚愕する中間達。
 笑い転げる青年。
 しかし笑っていられたのはものの数秒だった。
 車を運転している自分の手足が凍りついたかのように動かなくな
ってしまったのだ。



(103)2001.1.31

$ 飛び込み $

 大学のサークルでよくある新入生歓迎会とか合宿の話なのだが、
 ある大学で根性試しと称して岩場の高い所から下の湖に向かって
飛び込むという儀式(?)があった。
 しかしある時、新入生の1人が水の底に沈んで上がらなくなって
しまった。
 そして結局不幸な死体の無い葬式が執り行われる結果となった。

 この時、
 飛び込む瞬間は記念として1人1人写真に収められていたのだが、
この少年が飛び込む瞬間の写真に限っては、湖に当たる部分には湖
が無く、代わりに地の底から少年の方に向かって伸びる無数の白く
て細長い手が写っていたと言う。



(104)2001.2.2

$ 赤い右足 $

 ピアノ好きな少女がいました。
 ある雨の日、
 その少女がバラバラになって殺されているのが発見されました。
 しかし、どうしても右足だけ発見されませんでした。
 それから1週間後、
 また雨が降りました。
 その夜その少女の友人宅でピアノの音が聞こえてきました。
 そして、

「赤い足ある〜?」

 友人の女の子は恐れながら「有る」と答えました。

「私の右足ィィィィィイ!!!」

 恐ろしい声と同時に友人の少女の右足は切り取られました。

 この話を聴いてから1週間後に雨が降ると貴方の宅にもこの少女
の幽霊が現れるということです。



(105)2001.2.2

$ 池 $

 ここは有名な心霊スポットのM池。
 大学生がちょっとした遊び心から冒険がてら深夜に遊びに来た。

「な〜んだ。なんてことないじゃん。けっこう住宅街だしさ」

 アハハと皆は笑い飛ばし先輩の軽自動車に乗り込んで家路につい
た。
 その時、異常な感触を感じた先輩は足元を見た。すると、
 そこには自分の両足を握り締める白い間接の無い手がシートの下
からのびていた。その先は車外に出てM池の所まで伸びている。

 大学生たちを乗せた軽自動車は事故を起こし大破した。



(106)2001.2.3

$ テケテケ $

 トンネル工事のトンネルに宿直の男が1人留守番をしていた。
 深夜。
 どこから迷い込んできたのか、女が1人工事中のトンネルの中に
入ってきた。

「おおーい。危ないぞ」

 男は声をかけたのだが、その時偶然、
 トロッコが何かの拍子で滑り出し女の方に向かって動き出した。
 突然の出来事に女は対応できず、哀れにも女はお腹のところで真っ
二つに轢断されて即死した。
 男はどうしたら良いか分からずただ立ち尽くしていた。すると。

 ズルリ

 死体の上半身が動いた。
 女は2本の腕で上半身だけを持ち上げこちらに向かってきた。
 その表情はもはやこの世のものではない。
 男は必死になって逃げた。
 しかし女の死体の速度は異様に速く、このままでは追いつかれ
てしまう。
 男は素早く傍の電柱に駆け上った。
 その後を女の死体も登ってくる。

「うわわわわー!!!く、くるなっ!!」

 男は無我夢中で女の顔を上から何度も蹴った。
 女の死体はそれをものともせず男の足から腰、腹、胸、首をつ
たって上り詰めてきた。
 そのグズグズで血まみれになった顔が目の前に来たとき、男は
失神して電柱から落下した。

 翌朝、電柱の下に頭を割って死んでいる男が発見された。

 女の上半身は無くなっていたと言う。



(107)2001.2.4

$ 引きずり込む幽霊 $

 吹き抜けのある校舎がある。
 昔、無理矢理先輩に酒を呑まされて泥酔した後輩がこの吹き抜け
の3階の内側の窓から落ちて死んでしまった。
 それから時々風に乗って、

「先輩〜、僕お酒飲めないって言ったじゃないですか〜」

 という声が聞こえてくるらしい。
 また、その窓から身を乗り出すと恐ろしい力で下に引きずり落と
されてしまうとも言われている。

「な〜んて言う噂だけどさあ。やっぱりただの作り話じゃん」

 恐いもの知らずの友人はぐぐぐっと窓から身を乗り出して窓の下
を見下ろした。
 しかし、本当に引き込まれるわけでもなし、妙な声なども聞こえ
たりはしなかった。
 ただ、本人は気づかなかったようだが、
 その友人の手のひらの生命線は異様に短くなっていた。



(108)2001.2.5

$ 長生きできる占い屋 $

 占ってもらうと長生きできるということで有名な占い屋がある。
 しかし、ここで占ってもらうと慎ましやかに生きる事を勧められ
るのでも有名だ。
 おみくじで言うなら凶か吉だ。
 占いの結果に小吉以上が出る事はまず無い。
 けども長生きが出来るのなら良いじゃないかということで来てみ
た。
 ところがだ。
 一緒に占ってもらった友人は違った。
 もうやる事なす事なんでも成功するから好きなことをやりなさい
と言われた。
 あの占い屋でそれほどの事を言われるとはよほどの事だ。

 数日後、その友人は死んでしまった。

 つまり腕の良い占い屋がすこぶる良い事を言う時はその人に死相
が見えた時だということだ。



(109)2001.2.6

$ 存在 $

 ある日呑みに行った時のこと。
 電車の乗り継ぎの都合で私だけが家に帰れなくなってしまった。
 私は上司に許可を得て会社に泊まる事にした。
 3階の休憩室にはホットカーペットも電気ストーブもあるので防
寒に関しては安心だ。
 私は酩酊していたせいもありすぐに眠りについてしまった。

 深夜、多分3時ごろだと思う。
 私はアルコール焼けで目を覚ました。
 水を1杯飲んでトイレに行って再び横になってうとうとしだした
時、

 1階に誰かが入ってきた。ゆっくりと階段を登って来る。

 その時私の背筋は凍りついた。
 なぜ1階なのか。
 この休憩所は3階にあるのだ。
 1階の入り口が厳重なセキュリティーシステムで関係者以外が入
るのが困難なことはさして問題ではない。
 問題はなぜ3階から1階を歩いている者の存在が分かるのか、だ。
 もちろん足跡など聞こえるはずは無い。
 なのに何故か分かるのだ。
 そいつはゆっくりと確実に階段を登ってきた。そして3階で方向
を変えて休憩室のあるこちらの方に向かって歩いてくる。
 私はオーバーコートの下に縮こまり部屋の奥で固まっていた。
 そしてその何者かは入り口のところに立ち止まり壁に90度の角
度で首だけ出して部屋の中を覗き込んだ。
 勿論私は固く目を閉ざして縮こまっていたのでそれを見た訳では
無いのだが、まざまざと伝わってくる気配だけでそれが分かるのだ。
 嫌な時間が流れた。
 そのうち私は意識を失ってしまった。

 翌朝何事も無かったかのように会社が始まった。
 無論セキュリティーのログには自分以外に深夜の侵入者の形跡は
残っていない。



(110)2001.2.7

$ 食屍鬼 $

〃な、何を食べてるんだ〃

 物陰から覗いている私の位置からでは彼の背中しか見えない。

 私たちは今サークルの合宿で避暑地の旅館に来ている。
 安いボロ宿で男の方は大部屋で雑魚寝状態だ。
 そして深夜、1人が急にむくりと起きだした。
 初めはトイレにでも行くのだろうと思ったのだが何やらカバンか
ら持ち出してトイレとは別の方向へ出て行った。
 なかなか寝付けずにいた私は好奇心から彼の後をつけた。
 しかし、すぐに後を追ったつもりが不覚にも見失ってしまい墓地
の中へ入ってしまった。
「ここは土葬らしいぜ」
 寝る前の怪談大会で聞かされた台詞が蘇ってきた。
 私は空恐ろしくなり旅館の方へ戻った。その時。
 先ほど見失った奴を発見した。
 用心深く物音を立てないように近づくとうずくまって何かを食べ
ているのが分かった。

 ポリポリ カリコリ 、、、、

 いったいこんな時間にこんな場所で何を?
「ここは気候が涼しくて乾燥しているから土葬された死体は干物の
 様になっていて、信じがたい事だがなかなかいけるらしいぜ」
 また怪談大会で聞かされた台詞が蘇ってきた。

〃バ、バカな〃

 否定しようとした私の思考を、しかしその男は打ち消した。
 生まれて初めて全身から血の気が引いた。
 その話をしていたのは何を隠そう今目の前で「ナニか」を食べて
いるその男なのだ。
 私は恐怖のあまり足がすくんでしまうのをこらえ、そっと回り込
んで旅館の方に向かった。
 が、そのとき迂闊にも物音を立ててしまった。

「誰だ」

 私は一目散に旅館に走った。

 数分後旅館についた私はすぐさま寝た振りをした。
 その後間もなく奴も帰ってきた。
 奴はしゃがみこむと入り口付近で寝ている奴の胸に耳をあてた。
 そしてすぐ別の者の胸に耳を、そしてまた次の者の胸に……
 奴は心臓の鼓動を聴いているのだ。
 走って帰って来た者を探しだす為に。
 1人、また1人、だんだんとこちらに近づいてくる。
 いくら動悸を押さえようとしても早まるばかりだ。
 私は寝返りをうつ振りをして背を向けた。
 しかしこれは余計な動作だった。
 不自然さを見破られたのだろうか、奴の足音が真っ直ぐこちらに
やって来る。
 同時に異臭が、
 ピタリ
 と何かが私の頬にあてられた。
 そして奴はこう言った。

「お前もたくわん食うか〜」




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