就職(B面)



「頑張って下さい。」
と言う台詞は考え様によれば無責任な台詞です。
ただ、たとえそれが社交辞令であれ思いつきで口から出た言葉であれ、と
りあえず善意であることには変わりが無い訳で、決して非難すべきもので
はありません。
とは言え、人間関係の和合を尊重するあまり、最も残酷な結果を相手側に
もたらすという事実もある訳で、その時「がんばれ」と言った者が責任を
とれるのか、いや、とる必要もなくとるべきでもなく、むしろそういう過
剰な甘やかしは邪魔であたりもします。

前回の意見とは矛盾するかもしれませんが、
(A面)がクリエイターのTOMOSUMAの意見なら、今回の(B面)はサラ
リーマンとしてのTOMOSUMAの意見です。
少し毒があるかと思いますので始めに謝っておきます。すみません。

まず最初に一言。

「有名になるばかりが人生ではありません。」

 自分が表現する。
  それを誰かが認めてくれる。
 自分を磨く。
  過去には見えなかったもの聞こえなかったもの感じられなかったもの
  が色々と吸収できるようになってくる。
 何より、素晴らしいものを創造できるということそのもの。
  代用のきかない宝物。

などなど、
これらが本来純粋な意味での創作活動の良さだと私は思います。

これを職にするということは、よほど条件が良くない限り、ある程度は犠
牲にしなければならないというのが現実です。

それがプロです。

「不本意な創作活動が出来ないというのであれば芸術家と名のって、莫大
 な集客力を得るぐらい知名度を上げてからにして下さい。
 青臭いことばかりムニャムニャ言われたら会社としても迷惑です。
 「金になんなきゃ意味が無い」
 が最優先事項なのだから。みんな生活かかってるんだし。
 家のローン・頭金、結婚資金、養育費、健康保険、厚生年金、税金、医
 療費、老後、等々。そんなの全部面倒見れるのかって話ですよ。
 賃金の対価として労働力を売るということは、そういう社会のしくみに
 関わりを持つということです。
 自分勝手にしたければ趣味でして下さい。
 ええ、良ければコンテストで賞金ぐらいは差し上げますよ。
 悪い事は言いませんって、今ならまだ間に合いますよ。
 夢を信じるのは自由ですが、そのまま、、、、え〜っと、止めときまし
 ょう(意味有りげ)。」

この程度のことは言われますよ。最低でも。

私が金融機関に勤めているという仕事柄、もしかしたら多少酷い世界を垣
間見てきたせいもあるから余計にそう思うのかもしれませんが、
一般的企業がする所業に匹敵しうる絵っていったいどんな絵?
って思いますよ。そう考えるとちょっと想像つかないです。

プロとアマの差に「〆切」や「プロ意識」等をよく引き合いに出されます
が、それは要するに「契約」に起因するのであって、ようは「稼ぎ」に関
わって来る訳です。
「崇高な志」や「夢」などは必ずしもプロの為の必須事項でもないし特権
でもありません。
極めたければ、いわゆる「プロ」ではなく「芸術家」になれば良いです。
何もプロ兼芸術家である必要は無いです。
あと、凄腕の人はプロの方が圧倒的に多いですが、それは含有率の問題で
プロにならなければ腕が上がらない訳ではありません。
ついでに「偉くなりたい」「目立ちたい」「注目されたい」という場合は、
尚の事真剣に考え直した方が良いです。イラストレーターの名前が表に出
ることは少ないです。知名度があれば話は別ですが。

と言う訳で、会社で仕事をする自信が無いので逃げるとか、回りの人に誉
められたからとか、そういう程度の理由なら考え直した方が良いと思いま
す。
CGの神様は「これで身を滅ぼしても本望」というぐらいの覚悟がある人
にだけ、とりあえずチケットを渡してくれます。
ただし本当に身を滅ぼしてしまっても神様は助けてくれませんが。
ついでに言うなら本当に身を滅ぼす人の方が多いです。

とは言うものの、世に出てる商品を見渡せば、時々、
こんなんでもあり? なんで許されてるの?
と言いたくなるような仕事を見ることもありますが、
あれは、純な若きクリエイターをはめる為の悪魔の罠です。
皆さん気をつけましょう。

と言う訳で「もっと就職について強く考えましょう」と言いたいです。

まあ、しかし、こんな文章(A面,B面)読んだぐらいでどうこうなるよ
うならどうなんだろう?とも思いますが。
もしくは、所詮私はアマチュアですので、実際にプロ活動している人が、
「いやいや、この業界けっこう甘いよ軽いよ。」
なんて仰るようでしたら申し訳ないです。
m(_ _)m



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