(51)2000.12.10

$ 真面目だけが $

 何も出来ないけど一生懸命真面目だけが取り柄です。
 などと言う奴が時々いるがそれは要するに何の取り柄もないです
と言う事に等しい。
 普段へらへらしている様な人、例えば茶髪の自称イケメンサーフ
ァーというタイプの奴でもいざという時には真面目になるし節倹的
にもなる。
 つまり真面目だけが取り柄ですと言う者は何にも取り柄が無いか
ら仕方なく真面目にするという事を前面に出すしかない者なのだ。

 だからこう言う者に限って運良く人より優れているものを得たり、
立場的に優位な状況になる位置についた時にはそれらを振り回す。
 もうやたらめったら振り回す。なさけない。

 どうせ振り回すなら本当に自分の力でシッカリと手にし、力量と
してハッキリと実感できる重量感あふれるものを振ってみろ。
 それも身近な狭い井戸の中ではなくもっと外に出て広い広い往来
の中でさ!
 そう!! この僕のようにっ!!! いやっほう〜!!!!

 ・・・・

 某日未明、
 街中で斧を振り回し多くの犠牲者を出した殺人鬼が逮捕されました。



(52)2000.12.11

$ ドリーム カムズ トゥルー $

 努力すれば夢は現実になると言うがそのセリフは恐ろしく危険だ。
歌謡曲やテレビや本で言ってるいのは皆成功した人間で、ただ単に
自分が結果的に成功した経験を語っているだけにすぎない。
 だからもっと正確に言い直すと本当はこうなる。

 努力すれば夢が現実になる可能性はとりあえず否定できないが、
その確率は極めて少なくほぼ確実に絶望的な結果が待ち受けており、
ともすれば目も当てられぬ様な困窮した生活状況に陥る。
 金銭的にも精神的にも。

 が、しかし、
 夢と言っても人それぞれで、
 上記のごとく深刻なリスクを伴うものばかりではない。
 実に様々である。
 本当は夢や幸せなどごく身近なところにあり、大抵は地道な勤勉
さでかなうものなのだ。

 そうなんだよ。本当に夢と言っても色々あるもんなんだから。
 ちょうど僕の夢も今実現するところなんだ。
 ちょっと選挙がもめて長引いたけど、これでようやく念願の大統
領になれた。
 え、僕の夢? いえ、大統領なんてのは単なる通過地点ですよ。
 ぼくの夢は、もう、ほら、これ、あはっ、
 君も一緒にどうですか、ここ、このボタンを押すだけですよ。
 あはははは わ〜い。

 ……

 第三次世界大戦勃発。



(53)2000.12.12

$ ああいう大人 $

 三郎はしがないサラリーマンだ。
 彼の言い分はこうだ。

 「ああいう大人にはなりたくないね」
 などとアーティストたちは言う。

 ああいう大人とは概ねサラリーマンや公務員のことを指している。
 夢が無いとか取り柄が無いとか言うのだろうか。
 まさか芸術的センスが無いからだとかまでは言うまいな。
 とにかく有名になると普通に生活している者を見下す傾向が強い。

 いいか、アーティストどもよ聴け。
 おまえたちは我々がしたくも無い恐ろしくつまらない仕事等によ
 る生産物や経済活動のおかげで生かされているのだぞ。
 そして、その苦渋の日々と引き換えに受け取る僅かな賃金からお
まえたちの作った異物を買い上げてやっているのだ。
 基本的に娯楽など過剰傾向になっており、さらに、極論を言えば
必要最低限の生命維持には無くても良いものなのだ。
 おまえたちの作るものなどは。
 それでも言うか。
 見下したような態度で「ああいう大人」だなどと。
 おまえたちが言う「ああいう大人」がいなければおまえたちはす
ぐさま生命の危機に追いやられるのだぞ。
 なにが絵や音楽や愛だ恋だ。
 そんなことより伝票整理の1つでもしやがれ。
 バグとりデバック在庫の整理に棚卸、取れない新規開拓に頭のお
かしい客からの電話対応だ。上司の嫌味だ。部下の我侭だ。

 このあと三郎の愚痴は延々と続くのだが、これを記事にして出版
社に持ち込んだところ編集ならびに多くのサラリーマンから絶大な
共感を得て本になってベストセラーと化した。
 三郎は一躍スターになった。

 そして、三郎は一般市民を見下すようになった。



(54)2000.12.13

$ マラソンの様に $

 まあマラソンと一緒で、しっかりとマイペースで自分のコースを
走り成功と躍進に努めたいと思います。
 と人は言う。
 しかしそれは不正解だ。
 1度でもマラソンを見ていれば分かると思うが大会で良い成績を
残す為には、まずトップ集団に食らいついて行かねばならない。
 始めから最初はマイペースで、とか言って後ろの方を走る人は結
局最後までマイペースのまま後ろの方でゴールを迎えてしまうのだ。
 もしくは脱落するのがおちだ。

 そう思ったから私は私の道をもうただがむしゃらに走った。
 始めは幾人かが同じようについてきていたのだが、年とともにだ
んだん数も減ってゆき、思った通り脱落する者も出てきた。
 そして、ついには私1人となった。
 私は今間違いなく、トップランナーとなったのだった。

「あいつは今も続けているのか。昔からつっぱしる奴だったけど」
「ああ、昨日も最新のが出るからって走って並びに行ってたよ」
「しかし、もういいかげんエロゲーなんかする年じゃないだろ」



(55)2000.12.14

$ 常識 $

 常識というつまらないメガネでしかモノを見ることが出来ない大
人たちはけしからん。
 などと言うやつがしばしばいるが、あれは本当に自分の言ってい
ることが正しいと思っているのだろうか。
 もうバカも休み休み言って欲しい。

 常識というメガネはつまらないものではない。
 このメガネはモノを正しく見るための大切な道具に他ならないの
だ。
 確かに、
 悪い既成概念に捕われて先見の明を見誤ってしまうのは愚かな事
だが、それと「常識=柔軟性が無くてダメ」などと言いきってしま
う事とは別問題だ。それこそけしからん事だ。たわ言だ。
 それは1部を見て全体を勘違いしているだけなのだ。
 しかも言ってる本人自身が結局常識に捕われてはいけないという
常識に囚われているという事に気付いていない。
 斬新至上主義なのかなぁ。新しけりゃいいってもんじゃ無いでしょ。
 そして必ずこれを逃げの口実に利用する奴も出てくる。
 僕達は新しいから理解されないんだ、だと?バカめ。おまえらな
んぞ何をしても一緒だ。むしろ本当のバカ者さ加減が理解されずに
済んで幸運だったじゃないか。神様に感謝しろ。
 この大バカものどもめ!

 ん、え?
 なになに、さっきから黙って聞いていたら偉そうな口調でさんざ
ん好き勝手言いたい放題言っててまったくもって非常識だ、って?
 ふん、
 常識なんてクソくらえだ。



(56)2000.12.15

$ 信じる心 $

 「夢を無くした子供たち」と大人たちは言う。
 しかし大人たちが子供たちから夢を奪ってしまったと言う方が正
しいのではないだろうか。
 まったく酷い世の中だ。
 私はそんな子供たちの傷つけられた純な心を救うために絵本の中
からよみがえって来た。
 私は子供たちが私を信じてくれるエネルギーで何度でも不思議の
世界からよみがえることが出来るのだ。
 そうだ、
 今日は本番当日にはまだ早いけど久しぶりで感が鈍っているかも
しれない。ここはひとつ町中の子供達に意見を聴いてみよう。

「そこのボク。もし本当にサンタさんがいたら何が欲しいかな」

「ったく、んなもんいるわけねーじゃねえかよ。ッッッッバーカ」

 私は消滅してしまった。



(57)2000.12.16

$ 科学的に理論的に $

 プラスチックは土に埋めて何年たっても分解されないから地球に
優しくない、と言っていたかと思えば、
 清涼飲料水や食品のプラスチックの容器からは悪い成分が溶け出
しているから体に悪い、とも言う。
 いったいプラスチックは分解すんのかい、されんのかい、って声
を大にして叫びたい。
 まったくこれはエコロジーだとかヘルシーだとか唱える頭の悪い
信者が信条の異なる科学に対していちゃもんをつけているとしか思
えない。
 まったく、非科学的な事ばかり言いやがって、あいつら。
 自分たち自身は科学の恩恵の上にあぐらをかいているくせに。
 世の中みんな科学なんだ。科学、科学。
 うむむむむ。
 この怒りをどうやってぶつけてやろう。
 殴り倒したり刺し殺したら警察に捕まるし、
 何か良い方法は無いかな。
 考えろ、考えるんだ。理論的に、、、、
 あ、そうだ。あった。あったぞ。
 完全犯罪を成立させる方法が。
 これなら今の日本の法律にひっかからない。これは刑法にも罰則
が無いし過去に判例も無いぞ。裁判になっても絶対に勝てる。
 まあそれ以前に捕まらないだろうけどな。
 これなら遺伝子捜査も恐く無い。
 なんだ、やっぱり綿密な調査と理論に不可能は無いじゃないか。
 よしさっそく買いに行こう。
 わら人形と五寸釘を。



(58)2000.12.17

$ 神の怒り $

 まったく甘えた奴らばかりで困る。
 誉めてやれば天狗になってナメた口をききやがるし、
 注意したら凹んでスネてふてくされてしまう。
 も〜う、や〜めた。

 思い上がった全人類に神罰が下った。
 世界中で異変が起こる。

 おみくじの中身がすべて末吉。



(59)2000.12.18

$ 電話対応 $

 もういやだこんな会社。毎日毎日バカな電話対応ばかり。
 本線の仕事が全然進みやしないしで、家に帰る事すらできない。
 就職先間違えた。
 電話が鳴っても先輩どもは知らん顔だ。必然的に一番下っ端の私
が受話器を取らざるを得ない。このボケナスが。
 その電話の内容とはこんな調子だ。

「すみません。パソコンが金縛りにあって動かないんです」
「しばらく放置しておくと画面が闇になって得体の知れない景色が
 写るんです。これはきっとあの世の風景だ」
「インターネットに繋ぐ時にいつも引き裂くような悲鳴がモデムか
 ら聞こえるの。中に子鬼が入ってるに違いないわ」

 も〜う。

 トゥルルルル。

 ほら、また電話がかかってきた。

「プリンターが紙を食べて困るんです」

 そりゃ中で紙がツマってるだけだよ。蓋を開けて取り出せよ。
 ところが今度の電話の主は上級のバカで電話でいくら説明しても
理解できないときたもんだ。私はしぶしぶ客の家にまで出向いた。

 な、なんだこれは。

 そこでは人がプリンターの給紙口に首を突っ込んで死んでいた。
 そして恐るべき事にそのプリンターはなおもムシャリとその人間
を飲み込もうとしていたのだ。
 紙ではなく髪だったのか。

 トゥルルルル

 携帯が鳴った。

「ね、早く出してくださいよ。」



(60)2000.12.19

$ 奇跡 $

 みんな欲張りばかりだ。なんとかして下さい。

 はい、分かりました。

 こんな願い事をかなえてもらったもんだから、
 みんな性欲が無くなって子孫が出来ず、数十年後に人類は絶滅し
てしまいました。
 なんてオチになるかと一瞬後悔したんですがそんな心配いりませ
んでした。

 睡眠欲が無くなって数十時間後にみんな滅亡してしまいました。




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