(151)2001.4.9 $ 花見 $ ったく花見だ花見酒だなんて浮かれやがって、 こっちは花見どころか鼻水で大変だってんだ、花粉症でよ。 でも、まあ、 木や花に罪はねえよな。 「いや、わしらはわざとやってるんだすぎ〜」 えっ、だ、誰? (152)2001.4.10 $ どんぶらこ $ むかしむかし、 あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。 おじいさんはとても怠け者でした。 おばあさんもとても怠け者でした。 ある日、 おじいさんは山へ芝刈りに、 おばあさんは川へ洗濯に、行くのをサボりました。 すると、 人知れず川の上流から巨大な桃が流れてきて川下の方に消えて行 きました。 おじいさんとおばあさんはやっかいな鬼退治騒動に巻き込まれず に静かに末永く山の中で幸せに暮らしました。 とさ。 (153)2001.4.11 $ 自信 $ 「うおりゃ!ぐぬぬぬぬおおおお!!!」 「お前なんかに負けるもんか」 この2人はいつもおしくらまんじゅうをしている。 お互いに1歩も譲らない。 そこへ天使が舞い降りて来て優しい声でこう言った。 「ちょっとちょっと、そんなに力んでばかりいないで、たまには息 抜きも必要よ。そんなにいがみ合ってばかりじゃいけないわ」 「……そうか、そうかもしれないな。 今までお互いに譲るという事を知らなかった俺たちだが、よし、 今日のところは俺が1歩引こうじゃないか」 こうして2人のうちで、やや物分りの良い方が少しだけ相手に場 所を譲ってやる事にした。 彼の名はマントルプレート。 その瞬間、かつてない巨大な地震が地上を襲った。 (154)2001.4.12 $ 仕方ない $ 蟷螂や鈴虫は雌が雄を食べます。 愛した夫を食べ殺してしまうとはなんとおぞましいことでしょう。 しかし、これは子孫を残す為に必要な行為。 仕方がないことなのです。 人は人を食べもしないのに殺します。 ついでに子孫を残す為に必要な行為でも何でもありません。 ほんとに仕方のない生き物です。 (155)2001.4.16 $ 不況 $ 某国。 「今日もろくに食うものが無い。 それどころか、このままだと住む場所も危ういかもな。 今は世界的な不況だという。 あの金持ちのジャパンでさえ株価が暴落の一途を辿っている。 いったい世界はどうなってしまうのだ。嗚呼、恐ろしい」 日本。 「ん〜。給料上がらなかったしな〜。 新作ソフト買うのひかえとこっか〜」 (156)2001.4.18 $ 口癖 $ 私の息子はまだ幼く、特に何をしつけたというわけでもないの に非常に行儀が良い子供である。 おまけに最近では、 「お父ちゃん、前にも同じ事言ってたね」 と言って、私の方が物忘れ等を注意されてしまう始末だ。 そんなある日、 不幸にも私は医者に末期癌を宣告されてしまった。 ああ私の人生ももう終わりか。 短い人生だったな。 そういえば今まで何度も病院のお世話になったにもかかわらず、 医者の言う事を聞かずに不摂生な生活を続けてたからな。 「息子よ。おまえはくれぐれも私のようになるなよ。 規則正しい生活をちゃんと心掛けるんだぞ。」 「お父ちゃん、前にも同じ事言ってたね。」 (157)2001.4.21 $ 当たり $ この部屋には46個の地雷が埋めてあります。 この部屋を通り抜けるには6個の地雷を踏まなければいけません。 この46ある地雷のうち爆発するキーになる地雷は7つです。 7つ中6つの地雷を踏むと半径1キロメートル以内の全てのものを 木っ端微塵に吹き飛ばしてしまいます。 さあ、貴方はこの部屋を通り抜ける勇気はありますか。 「と、とんでもないわ。私にはそんな恐ろしい事できないわよ」 「だろ? だったら俺がロト6買うのをとやかく言うな」 ※ロト6=宝くじ。46個の数字の中から6つ選び、ボーナスを含 む7つの数字のうち6つ当てると大金が貰える。 (158)2001.4.27 $ 殺しすぎ $ 酒は百薬の長であるというが飲みずぎると毒になる。 「生きる事」はただそれだけで生き物にとって唯一絶対の正義であ るという観点から、例えば自分が生きるために他の生き物を殺す事 は、少なくとも殺す側からすれば正義である。 しかし、あまりにも不用意に殺しすぎて生態系の崩壊を招き、行 く末は仲間全体の壊滅を招くようであれば、それは悪である。 無用な殺生はするなというわけだ。 このセリフは昔から言われ続けている。 分ったか、分ったらおとなしく…… 「先生、手術中に何をブツブツ言ってるんですか」 「いや、この癒着したガン細胞がなかなか言う事を聞かなくてね」 (159)2001.4.29 $ 殺しすぎ その2 $ というように、対象がガン細胞であるだけなら笑い話ですみますが、 人類のしていることはガン細胞と同じだからヤバいですよという意味 も含まれていたわけです。 ・ちょっと特殊な遺伝子を持っている。 ・回りの生き物を殺しまくる。 ・増えすぎて宿主もろとも滅んでしまう。 つまり、 人類はガン細胞と違って心があるのですから、 神の手によって摘出手術されないように気をつけましょう。 みたいな話だったわけです。が、 このように前回の話の解説をするのも前代未聞のダメショートショ ートですね。 まあ、そんなダメショートショートの絵空事なんでよっかったで すが、ある日突然空から巨大な手とメスが現れて町ごとごっそり持っ ていかれたりしたらびっくりですよね。 あはははは。 …… 「どうもこいつは遺伝子治療と言うものを知らんようだな」 「もっと殺人ウィルスを増やしても良さそうですね」 (160)2001.5.11 $ 神の微笑み $ 「夢を諦めないで生きてゆきます」 「ああ、そうだ。それは素晴らしいことだ。夢は信じれば現実にな るんだ。きっと神様も微笑んでくれるさ」 少年は自分の夢の為に全てを捨てて捧げた。 しかし、全てを捨ててしまっては何にも始まらない。 少年は不幸な一生を遂げた。 「あっはっはっ、バカだよこいつ」 それを天界で見ていた神様は大笑いしていた。 |
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