あるホラーのあり方



エンターテイメントとしての恐怖をつかさどるモンスターは
絶対悪であるのが好ましい。
妙な響きに聞こえるかもしれないが、
観る者にとって「その悪は安心できる」のである。

悪と対峙する時、対峙した者は立場上「悪ではない」という事になる。
これが大事なのである。

「おぞましい化け物め」となじりながら安心しているのである。
悪を憎む正義の心とは別のところで、
恐がったり、驚きながら、実は心の奥底で
「あれにくらべたら自分はなんと善人であることか」
と、自分を許し慰め正当化しているのである。

私は別に悪いとは思わない。

人間とは己がいくら悪い事をしていようが
「自分は正しい」
と思いたい生き物なのだから。

どんなに愚かで間違った事をやり尽くしていても、
それは悪い魔物に憑かれて仕方なくした事であって、
本当にいざという時には天使や神様が助けてくれる。
と考えたい生き物なのだから。
その考えが意識領域に浮上しているかどうかは別として。

仕方がないから、自分のせいではないから、
悪いのはまわりのせい、良いのは自分がガンバったから、

等と言い出したらきりがないのだが、まあそういうことである。
もっとも全ての人間がそうではないということに一応はしておこう。

そんなこともあって、エンターテイメントとしてのモンスター達には
出来る限り悪役になってもらって観客に安心してもらわなければ
ならないという訳である。
その為には、より強力に、より邪悪に、より恐ろしい存在に
なってもらう必要性が有るわけで、
その為にも私は出来る限り日々精を出して
せっせと魔物を世に送り出さねばいけないという訳である。

(e_e) イッヒッヒッ



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