女幽霊は美人であるべきなのか



 生活における様々な問題に立ち向かい僅かの時間さえも絞られな
がら(←人並みにではありますが)、日々ホラーについて考え続け
ております。
 いや、気が向いたときだけ、です。すみません。

 だいぶん前のことになるのですが、例によってGEOやTUTAYAから
B級C級問わず、ホラー映画等を借りては見ていたのですが、ふと
気付いたことが。
 制作側にそういう意図があったのかなかったのか分かりませんが、
女の幽霊でさほど美人ではない、というか不細工といっても良いよ
うなのが出てきました。メイクやライトのせいもあってたまたま不
細工に見えたというだけかもしれないのですが、そのときの幽霊が
とても怖かった。
 なんやかんや言っても映像で出てくる女の幽霊はそこそこでまあ
まあな容姿の者が多いです。日本の場合それが当たり前気味なので
すが、そのせいかその時見た幽霊がとても新鮮に怖く感じられた。
 私も絵に描くときは原型が美形な幽霊や魔物を、ほとんど意識す
ることなく採用していたのですが、おかげで何かに目覚めた気がし
ました。

「これはいける」

 心の中でほくそ笑みました。

 それからしばらく経ったある日。
 邦画の低予算ホラーのコーナーに少しだけ不細工な幽霊が写され
たパッケージが見受けられました。

 「やるじゃない」

 何サマなのか、上から目線で褒め称え、しかし、新作なので旧作
の100円になるまで借りないこととしました。

 それから更にしばらくして、なんだか邦画の低予算ホラーのコー
ナーに不細工な幽霊のパッケージが増えてきました。もはや一面が
埋め尽くされています。
 そのへんになってやっとまた新たに気付いたことが。

「単なるグロ画像やな……」

 一時期は鬼の首を取ったかのごとく、真髄を得たり、みたいなこ
とを感じていたのですが、今となっては、ただただ汚いだけのよう
な感じがします。恐いのではなく汚い。恐けりゃ良いってものでも
ない、どころか、恐さの妨げにすらなっている部分もある。と考え
直しました。

 恐怖を伝えるためのあくまでツールの1つとして、グロっぽいも
のも時としては有りなのですが、こんなに不細工な幽霊軍団を前面
に出してきてしまっては、もはや下品ですらある。
 そして、幽霊をグロというカテゴリーで取り扱うのは、ほどほど
にすべき。
 今まで全くなかった感じなので、ツールの1つとして採用する選
択肢が増えたのは有りだけれど、バランス良くしないと、本末転倒
になってしまう。そして、

 やはり美しくなくてはならない。



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